札幌から旭川間では最大規模のスタッフ・診療科を有し、地域がん診療拠点病院および救命救急センターとして、高度医療を担っています。6名のスタッフで 大腸・胃・食道・肝胆膵悪性疾患・胆石症・腸閉塞・腹膜炎・鼠径ヘルニア・肛門疾患などの消化器外科手術(乳腺外科と合わせ年間約550件)・抗がん剤治療・緩和治療を行っています。
適切な治療を行うため全ての診療科との協力・多職種とのチーム医療・病診連携が重要であり、キャンサーボード(多職種合同の会議)で治療方針の検討をしています。また放射線診断科医・治療科医による診断・IVR(画像下治療)・放射線治療および麻酔科専門医による高度な集中治療は、重症患者様の治療に成果を挙げています。
腹腔鏡手術は手術侵襲(痛み・苦痛)が少ないだけでなく、画像精度の向上で肉眼より良く見え有用であり(拡大視効果)、手術侵襲を少なくして、最大の治療効果が出るよう努めています。進行再発癌の治療では、化学(放射線)療法を行っています。診断・治療方法は常に進歩しており、最新のガイドラインや報告を吟味して取り入れるよう心がけています。
粘膜に留まる早期癌では内視鏡的粘膜切除・剥離術、それ以上の状態ではリンパ節郭清を含む胃切除術が必要です。腹腔鏡手術は75%の方に行い、胃全摘術あるいは幽門側胃切除術などを行います。腫瘍が他臓器に浸潤したり大きな場合は、審査腹腔鏡で病状を先に把握することや、開腹で行うこともあります。
待機的手術ではほとんどの場合、腹腔鏡手術を行っています。他臓器浸潤・腸閉塞・腹膜炎の場合では開腹で行うことがあります(全体として腹腔鏡で75%)。下部直腸癌・腸閉塞・腹膜炎の場合には、人工肛門が必要になることがあります。さらに進行下部直腸癌の術前化学放射線療法と手術(集学的治療)は、2019年版大腸癌治療ガイドラインでようやく日本でも標準治療となりました。放射線治療科専門医の協力して、当院では10年以上前より取り入れ、道内随一の治療経験を有しています。
手術侵襲が大きくリスクも高いため、年齢・体力・病状に応じて根治的化学放射線治療あるいは開胸開腹食道亜全摘術を行う必要があります。
肝癌:肝外側区域切除と部分切除では、腹腔鏡下切除(37%)を行っています。腹腔鏡下肝切除では気腹することで、肝静脈からの出血が減少することが、有利になると考えられます。
膵および胆道癌:膵頭十二指腸切除あるいは膵体尾部切除術などを行います。
胆石発作では、待機的に腹腔鏡下胆嚢摘出術(97%)をおこないます。痛みが持続する急性胆嚢炎では、胆嚢炎ガイドライン(TG18)に基づき、早期腹腔鏡下胆嚢摘出術を行い、病悩期間を短くできるように努めています。膿瘍形成や全身状態が良くない場合は、経皮経肝胆嚢ドレナージ術を行うことがあります。
鼠径部ヘルニア:腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術(53%)は腹壁のダメージが少なく、対側観察ができるメリットがあります。下腹部手術既往がある場合や抗凝固薬を内服されている場合は、鼠径部切開法で行うようにしています。
血流障害を伴う、保存的には治らないと考える場合には手術を行います。腹腔鏡下に行えない場合には開腹で行います。
緊急手術を行います。
軽症の場合は絶食・抗菌薬で治療、中等度以上や繰り返す場合には腹腔鏡下虫垂切除術、膿瘍形成している場合にはドレナージ後に時間をあけてから手術を行います。
保存的治療で改善しない場合は手術を行います。
がん組織は正常組織に比べ熱によわく、42.5度以上では死滅することから、高周波エネルギーで体内深部まで加温する治療法です。
がんと診断されたときから行う、身体的・精神的な苦痛を和らげるためのケアです。また望んだことを行い、望まないことは行わないためには、患者様・ご家族と医療従事者が、患者自らの意向に基づき予め話し合うプロセス(ACP:advance care planning 厚生労働省は<人生会議>と定義)をはやい段階で行うことが求められるようになってきております。がん診療に携わる医師、看護師、臨床心理士、薬剤師、栄養士などがチームとなって、患者さん・御家族を支援します。
超高齢化社会となり、ご高齢の方が病気になることは増えています。もともと体力低下があり、周術期リスクが高くなる場合には手術以外の治療(放射線治療・化学放射線療法・化学療法・緩和ケア)の方が、結果が良いと考えられることもあります。病状・体力・年齢とご希望を考慮して、最善・最適の治療を行えるように心がけています。
初診時には、追加検査や大まかな治療方針の確認を行います。術後、肺炎などの合併症にならないため、手術が必要な患者様には、準備(禁煙・口腔ケア・義歯作成・体調管理など)の説明を行います。手術日程が決まりましたら、後日ご連絡させて頂きます。緊急手術が多いために、待機手術日がきまってから再度日程調整が必要になることがあります。その際には御理解と御協力のほど、どうぞよろしくお願いします。
地域の皆様からの信頼に答え、ひとりひとりの方に最善と考えられる治療を行うため、北海道大学消化器外科Iと連携して、最新の治療や臨床試験も行い標準治療以上のことができるよう努めております。
H30 | R1 | H30 | R1 | |||
創傷処置(CVポート抜去含む) | 4 | 11 | 腹腔鏡下胃腸吻合術 | 6 | 10 | |
中心静脈注射用埋込型カテーテル設置 | 0 | 2 | 胆嚢摘出術 | 2 | 7 | |
皮下腫瘍摘出術 | 0 | 1 | 胆嚢切開結石摘出術 | 1 | 0 | |
皮膚悪性腫瘍切除術 | 0 | 1 | 腹腔鏡下胆嚢摘出術 | 89 | 96 | |
腹腔鏡下食道裂孔ヘルニア手術 | 0 | 1 | 総胆管胃(腸)吻合術 | 0 | 1 | |
胸腔鏡下膿胸腔掻爬術 | 1 | 0 | 胆嚢外瘻造設術 | 0 | 1 | |
食道縫合術 | 1 | 0 | 胆嚢悪性腫瘍手術 | 1 | 0 | |
食道切除再建術 | 1 | 0 | 肝切除術 | 9 | 5 | |
食道裂孔ヘルニア | 1 | 0 | 腹腔鏡下肝切除術 | 5 | 4 | |
血管結紮術 | 1 | 0 | 膵頭部腫瘍切除術 | 1 | 0 | |
動脈塞栓除去術 | 2 | 0 | 脾摘出術 | 0 | 1 | |
動脈形成術(腹腔内動脈) | 0 | 1 | 腹腔鏡下脾摘出術 | 1 | ||
中心静脈栄養埋込型カテーテル設置 (頭頸部その他) |
2 | 3 | 腸管癒着症手術 | 2 | 8 | |
リンパ節摘出術 | 13 | 2 | 腹腔鏡下腸管癒着症手術 | 1 | 4 | |
腹壁膿瘍切開術 | 1 | 0 | 小腸切除術 | 11 | 9 | |
ヘルニア手術 | 腹腔鏡下小腸切除術(悪性腫瘍以外) | 3 | 6 | |||
腹壁瘢痕ヘルニア | 0 | 6 | 腹腔鏡下小腸切除術(悪性腫瘍) | 0 | 2 | |
腹腔鏡下ヘルニア手術(腹壁瘢痕) | 0 | 2 | 虫垂切除術 | 0 | 2 | |
臍ヘルニア | 1 | 2 | 腹腔鏡下虫垂切除術 | 34 | 30 | |
白線ヘルニア | 1 | 0 | 結腸切除術(悪性腫瘍以外) | 18 | 11 | |
鼠径ヘルニア | 24 | 22 | 腹腔鏡下結腸切除術 | 11 | 5 | |
腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術 | 31 | 36 | 結腸切除術(悪性腫瘍) | 4 | 4 | |
大腿ヘルニア | 1 | 1 | 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍手術 | 34 | 42 | |
腹腔鏡下ヘルニア手術(大腿・閉鎖孔) | 3 | 0 | 腸瘻造設 | 2 | 2 | |
ダメージコントロール手術 | 0 | 1 | 腹腔鏡下人工肛門造設術 | 14 | 24 | |
腹腔鏡下試験開腹術 | 2 | 1 | 人工肛門造設術 | 16 | 13 | |
腹腔鏡下試験切除術 | 3 | 3 | 人工肛門閉鎖術 | 6 | 9 | |
試験開腹術 | 6 | 5 | 膀胱瘻造設術 | 1 | 0 | |
腹腔鏡下汎発性腹膜炎手術 | 2 | 6 | 直腸周囲膿瘍切開術 | 0 | 2 | |
急性汎発性腹膜炎手術 | 10 | 13 | 直腸腫瘍摘出術 | 4 | 2 | |
腹腔鏡下胃・十二指腸潰瘍穿孔縫合術 | 5 | 4 | 直腸切除・切断術 | 5 | 2 | |
胃縫合術 | 1 | 2 | 腹腔鏡下直腸切除・切断術 | 19 | 17 | |
胃局所切除術 | 1 | 0 | 直腸脱手術 | 0 | 1 | |
腹腔鏡下胃局所切除術 | 1 | 1 | 痔核手術 | 0 | 1 | |
胃切除術(悪性腫瘍) | 1 | 0 | 肛門周囲膿瘍切開術 | 0 | 1 | |
腹腔鏡下胃切除術(悪性腫瘍) | 9 | 11 | 膣壁裂創縫合術(直腸損傷を伴う) | 0 | 1 | |
胃全摘術 | 1 | 5 | 胃ファイバースコピー | 0 | 1 | |
腹腔鏡下胃全摘術 | 2 | 2 | 子宮附属器腫瘍摘出術 | 1 | 0 | |
胃腸吻合術(ブラウン吻合含む) | 0 | 1 | 計 | 433 | 470 | |
手術患者数 | 396 | 408 |