月曜日 8:45~11:00
水曜日 13:30~15:00
木曜日 8:15~11:00、13:30~15:00
新患は予約制ではありませんので上記の時間に直接ご来院ください。
他院からの紹介の場合は当院地域連携室を通して予約することも可能です。
砂川市立病院乳腺外科は北海道大学病院の協力を得て、2016年4月に乳腺専門医・指導医が常勤する診療科として開設されました。乳房の病気、特に乳がんを診療の中心としています。
乳がんは現在、日本人女性の9人に1人が生涯の間に発症するといわれています。一般に乳がんはかかる人が多いものの、生存率が比較的良好ながんです。しかし、その治療は手術・ホルモン療法・抗がん剤治療・分子標的治療・放射線治療・再建手術、遺伝子診断と多岐におよび、高度に専門化されています。当院では下記に紹介するように、現在日本で行われているすべての乳腺にかかわる検査・治療を行うことができます。
乳腺に心配な症状のある方、他院や検診施設で精密検査が必要と言われた方、安心して当科を受診していただければ幸いです。
ご家族の都合などで、他院での治療を希望する方につきましても病院紹介を含めてご相談させていただきます。また、他院で治療中の患者さんのセカンドオピニオンにつきましても対応いたします。
現在、日本人女性の9人に1人が生涯の間に乳がんになると言われています。乳がんは増加の一途をたどっており、年間9万人程度の新たな乳がん患者さんが見つかっています。
乳がんは進行が比較的緩やかで、乳房内でがん細胞が発生してからしこりとして見つかるまでに数年から10数年程度はかかると言われています。そのため、検診などで乳がんの疑いと言われたり、乳がんと診断されても焦る必要はありません。乳がんはしっかりとした病院で、きちんと検査・診断を受けて、正しい治療を行えば、完治する可能性が非常に高い病気です。また、お仕事や趣味、日常生活をなるべく変えないで治療することが大切です。当院ではチーム医療を行い、生活などのいろいろなサポートを行いながら、正しい診断と標準治療(最先端の最もよいと思われる治療)を行っています。
乳房の病気は乳がんだけではありません。しこりであっても、良性のしこりも何種類もあります。当院では下記の検査を用いて乳房の検査、乳がんかどうかの診断を行っています。
乳房のレントゲン検査です。乳房を圧迫し撮影するため、撮影時に多少の痛みを伴います。しかし、マンモグラフィは乳がんの発見に非常に有用であるため、全員に行う検査です。マンモグラフィに用いる放射線量はごくわずかで、被ばくによる健康への影響はありません。
当院では2016年9月に北海道に数台しかないトモシンセシス撮影(3Dマンモグラフィ)が行える最新鋭の機種に更新し、さらに正確な診断ができるようになっております。
乳房にゼリーを塗り行う検査で痛みはありません。乳房にしこりがあるかどうかを見ることができます。また、しこりがどの程度の大きさか、どのような性質があるかを見ることができます。
当院では通常のエコーより数倍解像度の高い乳腺専用エコープローブを用いて検査しています。
乳がんが疑わしい場合や乳がんと診断された場合に行う検査です。疑わしい場合は乳がんの可能性が高いかどうかを判定するのに利用します。乳がんと診断されたのちに行う場合は乳がんが乳房の中でどれほどの広がりを持っているか、反対側の乳房に別の病気がないかを判定します。乳がん手術の前には必ず行うべき検査の一つです。当院では「乳房用3テスラMRI」を用いてうつぶせで検査します。
上記の画像検査で乳がんを疑うしこりなどがある場合にこの検査を行います。当院では最新の生検機械を導入しています。通常はエコーを見ながら、局所麻酔を行い4mm程度の穴から針を刺してしこりの一部を取ります。一針縫いますが、傷跡は小さくあまり目立ちません。
取り出した組織は病理検査(顕微鏡検査)を行い、乳がんかどうか、乳がんであればどのような乳がんであるかを判定してその後の治療に生かします。また、しこりにならないタイプの乳房の病気(乳房の石灰化など)に対してマンモグラフィをしながらマンモトームを行う検査も可能です。
乳がんと診断された場合、多くの場合で手術が必要となります。乳房を切除する(全摘)方法と乳房の一部を切除する(部分切除)方法があります。乳がんの状態や患者さんの状態などで治療方法は変わります。おのおのメリットとデメリットがありますので、しっかりと相談して決めていきます。
また、当院では乳房切除(全摘)が必要な方や以前に乳房切除が行われ乳房再建(乳房をつくりなおす)を希望する方に、形成外科と協力して保険適応で乳房再建を行うことができますので当科に御相談ください。(オンコプラスティックサージェリー学会による認定施設)
乳がんの多くは手術だけでは再発する率がある程度高いと言われています。これは手術を行った時点で、目に見えないがん細胞が血流やリンパの流れで全身に飛んでいっている可能性があるからです。ですので、乳がんの治療は手術だけではなくかなり多くの方にお薬の治療を必要とします。
ホルモン療法は女性ホルモンの影響を受けるタイプの乳がんの方(乳がんの8割程度)に用います。内服もしくは注射で、5年から10年程度行っています。
乳がんのタイプ、乳がんの進行度によって化学療法(抗がん剤)を使用することもあります。通常は点滴を定期的に行います。化学療法には副作用を伴いますが、現在では化学療法に伴う多くの副作用をいろいろな薬を併用することで抑えることができます。
治療のほとんどは外来通院で行い、仕事をしながらの化学療法も十分可能です。また、乳がんのタイプによっては手術前に化学療法を行うことも多くあります。当院では外来に専門スタッフをもつ化学療法室が整備され、快適な環境で安全に化学療法を行うことができます。
2020年度から化学療法中に頭皮を冷却することで脱毛の予防を行う機器を導入致しました(下記を参照ください)。
乳がんのタイプによって(HER2陽性乳がんの場合)必要となる治療です。通常は3週間に1回の点滴を1年間行います。副作用はほとんどありません。点滴の回数が多いため、患者さんの状況や必要に応じて点滴をスムーズに行うためのポートを皮膚に埋め込むこともできます。
主に乳房を一部切除(部分切除)した場合に行います。部分切除の場合、残った乳房にまた乳がんが発生する場合があります。放射線療法を行うとその確率がかなり低下します。当院では放射線治療専門医が常勤していますので、乳腺外科医と連携し治療しています。
上記の治療において、化学療法(抗がん剤治療)を行うべきかどうか判断に迷うケースもあります。その場合、摘出した乳がん組織をさらに詳しく検査する(乳がんの遺伝子検査)ことで再発の可能性や抗がん剤を使用すべきかどうか判定することができます。
保険外診療となり40万円程度の費用がかかりますが、当院でも行うことができます。乳がんのタイプや進行度によって適応が決まっていますので、全員が行える検査ではありません。
米国女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが遺伝性乳がん(正式には遺伝性乳がん卵巣がん症候群)であり、予防的に乳房切除を行ったことを告白しました。以降、日本でも遺伝性乳がんが注目されています。
当院でも遺伝性乳がんの検査(遺伝子検査)が行えます。遺伝子検査を希望する方には遺伝カウンセリングを行い、検査の内容や検査をすることのメリット、デメリットなどをしっかりと相談いたします。
検査は検査は少量の採血のみです。保険診療の適応となる場合は自己負担6万円程度、保険外診療の場合は10万円程度の検査費用がかかります。
近年、遺伝性乳がんの方の再発乳がんの治療薬として「リムパーザ」という分子標的薬が発売になりました。この薬剤が使用できるかどうかの検査(コンパニオン診断)として遺伝性乳がんかどうかの検査を当院で行うことができます。
保険適応で自己負担は6万円程度です。遺伝性乳がんによる再発が確認された場合はリムパーザを使用し、遺伝性乳がんでなければ通常の治療を行います。遺伝性乳がんと判断された場合のご家族に関する相談(遺伝カウンセリング)、検査も当院で行うことができます。
乳がんの治療では手術前後に化学療法(抗がん剤治療)を要する方が30%程度いらっしゃいます。手術前後に乳がん治療としての化学療法を行うと、ほぼ100%脱毛が発生し、多くの方がウィッグを用いることになります。化学療法が終了するとまた頭髪は生えてきますが、ウィッグが要らなくなるまでには長期間を要します(個人差はありますが1年前後)。中には、完全には頭髪が戻らない方もいらっしゃいます。
化学療法時の脱毛を少しでも抑えようと、2020年度より化学療法時に頭皮を冷却することで脱毛を抑制する機器を導入致しました。この機器を使用すると、化学療法による脱毛が抑制され、30%程度の患者さんがウィッグを必要としなくなり、ウィッグを必要とする場合でも早期のウィッグ離脱が可能になるとされています。使用料金は保険診療外(自費)になり、個人で使用する冷却キャップが約9万円、機器使用料が約3万円かかります。2021年度より冷却キャップの有料レンタル制度も開始いたしました。
乳がんは現在のところ、予防することはできません。乳がんで命を落とさないために大切なことは早期発見と適切な治療です。
早期発見のために大切なことは定期的なマンモグラフィ検診と自己検診です。マンモグラフィ検診は少なくとも2年に1回は行いましょう。当院では通常のマンモグラフィよりも高精度な3Dマンモグラフィによる検診もオプションで行っておりますので、当院健診センターや砂川市ふれあいセンターにお問い合わせください。自己検診も重要です。入浴時に乳房はタオルなどではなく素手にボディーソープを付けて滑らせるように洗いましょう。つるつると乳房をなでて中にしこりがないかチェックしてください。何か感じたら、当科を受診してください。
乳がんに対する適切な治療というのは言うのは簡単ですが、実際に行えている施設はあまり多くはありません。乳がんに精通している専門の医師はもちろんのこと、一緒に診療する形成外科、放射線治療科、病理診断科などの医師、院内各部署の看護師、技師、ソーシャルワーカー、臨床心理士などのスタッフがそろい、各種の検査、手術、治療ができる設備が整っていなければなりません。砂川市立病院乳腺外科は北海道でも数少ない上記のすべてが揃っている診療科です。何かありましたら安心して受診していただければ幸いです。
HTBの番組において、乳腺外科の取り組みが紹介されました。
術式 | R2 | R3 |
創傷処理筋肉、臓器に達する | 13 | 22 |
リンパ節等穿刺又は針生検 | 8 | 12 |
乳腺膿瘍切開術 | 2 | 0 |
乳腺腫瘍画像ガイド下吸引術 | 51 | 52 |
乳腺腫瘍摘出術(長径5cm未満) | 0 | 2 |
乳腺腫瘍摘出術(長径5cm以上) | 0 | 2 |
乳腺悪性腫瘍手術 (乳房部分切除術・腋窩部郭清伴わず) |
20 | 24 |
乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術・腋窩部郭清伴わず) | 20 | 19 |
乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術・内視鏡下) | 3 | 3 |
乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術・胸筋切除伴施なし) | 9 | 5 |
リンパ節摘出術(直径3cm未満) | 0 | 1 |
リンパ節摘出術(直径3cm以上) | 3 | 1 |
リンパ節群廓清術(腋窩) | 1 | 0 |
計 | 130 | 143 |