当科は平成25年8月より『口腔ケアセンター』として開設し、主に手術や化学療法を受けられる患者様を対象とした口腔ケア、入院中の方の歯科治療を行っておりました。平成29年9月よりこれまでの歯科治療に加え、口腔外科疾患につきましても治療が行える体制となりました。
口腔内には多数の細菌(口腔内常在菌)が生息します。口腔内常在菌は虫歯や歯周病の原因となりますが、健常な方は全身的な影響は少ないといわれております。
しかし、全身麻酔をかける時や脳梗塞などにより嚥下機能が低下している方は口腔内常在菌が原因となり誤嚥性肺炎を発症してしまうことがあります。そのため、適切な口腔ケアを行うことにより、誤嚥性肺炎のリスクを軽減することが大切です。
また、がん治療の一環である化学療法や頭頸部領域への放射線治療に伴い口内炎や口腔乾燥、味覚異常が出現することがありますが、そのような症状に対する緩和目的のためにも口腔ケアを行っております。皆様の治療をサポートできるように努めたいと思います。
骨粗鬆症や悪性腫瘍の治療のため、骨吸収抑制薬を使用することがあります。このような薬剤を使用されている場合、抜歯などの歯科治療を契機に顎骨壊死が発症することがあります。また、虫歯や歯周病を長期間放置することでも顎骨壊死が発症するといわれております。顎骨壊死が発症してしまうと、顎の痛みや腫れ、排膿などの症状が出現し、進行すると顎骨骨折をきたす場合があります。顎骨壊死の治療は非常に難治性であることが多く、長期間の投薬治療や手術が必要となることがあります。
顎骨壊死が発症しないように、自覚症状がなくとも定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることが最も重要です。
親知らずは必ず抜歯しなければならないわけではありません。しかし、親知らずが原因で腫れや痛みが生じた場合や、親知らずのとなりの歯が虫歯になってしまった場合は、抜歯の適応となります。埋伏している親知らずを抜歯をする場合、歯肉を切開し、顎骨の一部を削って抜歯します。抜歯本数や埋伏している位置によりますが、親知らずの抜歯は、局所麻酔、静脈内鎮静法、全身麻酔などから、適切な方法を選択し行います。
虫歯や歯周病により歯牙を失ってしまった場合、通常、入れ歯やブリッジ(差し歯)などの治療を行いますが、条件が合えば親知らずを利用し、歯の移植を行うことができます。歯の移植は保険適用が認められておりますが、移植を行うには、顎骨の形態や移植する歯の形態など一定の条件が整っていないと行えませんので、担当医にご相談ください。
歯を失うと入れ歯やブリッジなどの治療が選択されますが、第3の治療としてインプラントがあります。インプラントは顎骨に人工歯根を埋入し、上部構造(歯冠)を装着します。インプラントは自分の歯(天然歯)に近い機能や審美性の回復が得られるメリットがあります。その一方で、手術が必要であることや治療費が高額(自由診療)であることなどデメリットもあります。また、当院ではインプラント手術を行う際に顎骨が不足している場合に安全にインプラントを埋め込むための骨造成手術や骨移植術も行っております。ご希望の方は担当医にご相談ください。
一般にあごが大きい(いわゆる受け口)、あごが小さい(いわゆる出っ歯)、あごが左右に曲がっているなどの理由で、上下の歯の噛み合わせが大きくずれたような場合、「顎変形症」と呼ばれる病気の可能性があります。顎変形症の患者さんは、食べ物をうまく噛めない、飲み込みづらい、滑舌が悪いなどの様々な障害がでてきます。このような患者さんに対して、矯正歯科医師と連携して顎矯正手術を行い、かみ合わせの改善を行う治療を行っています。
顎関節症はあごの関節(顎関節)やその周辺の組織に何らかの異常があり、主に「あごが痛い」「あごが鳴る」「口が開けづらい」などの症状である慢性的な疾患です。治療には薬物療法、理学療法やマウスピースを作製することがあります。
顎骨内に発生するのう胞や良性腫瘍は、基本的に放置しても治癒することはありません。その治療法は病巣の性質にもよりますが、多くの場合摘出術、開窓術(嚢胞の一部を切開し、窓開けを行うこと)を行い、さらに必要に応じて反復的な処置が行われます。年齢、病巣の部位、大きさ、隣接器官との関連などを十分考慮し、できるだけ顎骨を保存し、口腔の形態的・機能的障害を少なくなるように治療法を選択します。
顎骨の骨折や軟組織の裂傷の治療を行います。手術により骨折部位をプレートで固定することや、歯牙を固定することにより、顎骨の形態や機能の回復を目指します。また、骨折により抜歯や根管治療(歯の神経を抜く治療)が必要となる場合があります。
虫歯や歯周炎、親知らず周囲の炎症が顔面や頸部にまで及んでしまった場合の治療を行います。重症の炎症で食事がとれない場合などは入院下での治療が必要となる場合があります。
ご健康な方の一般歯科治療(虫歯、歯周病、義歯などの治療)につきましては、かかりつけ歯科医院に紹介させていただくことになりますので、御了承ください。
| 術式 | R3 | R4 | R3 | R4 | |
| 抜歯手術 | 520 | 134 | 下顎区域切除術 | 0 | 1 |
| 上顎洞陥入歯除去術 | 1 | 0 | 下顎骨悪性腫瘍手術 | 2 | 1 |
| ヘミセクション(分割抜歯) | 2 | 0 | エナメル上皮腫摘出術 | 0 | 1 |
| 歯根嚢胞摘出術 | 25 | 11 | 顎骨腫瘍摘出術 | 22 | 12 |
| 歯根端切除手術 | 20 | 4 | 顎骨嚢胞開窓術 | 1 | 3 |
| 歯の再植術 | 3 | 1 | 口蓋隆起形成術 | 3 | 4 |
| 歯の移植手術 | 5 | 2 | 下顎隆起形成術 | 5 | 5 |
| 骨瘤除去手術 | 2 | 0 | 腐骨除去手術 | 14 | 3 |
| 歯槽骨整形手術 | 1 | 1 | 腐骨除去術 | 0 | 3 |
| 歯肉・歯槽部腫瘍手術 | 1 | 0 | 外歯瘻手術 | 1 | 0 |
| 誘導歯肉切除術 | 1 | 0 | 唾石摘出術 | 2 | 0 |
| 口腔内消炎手術 | 5 | 4 | 唾液腺管形成術 | 0 | 0 |
| 口腔外消炎手術 | 1 | 0 | 顎下腺腫悪性腫瘍手術 | 1 | 0 |
| 口腔底腫瘍摘出術 | 1 | 0 | 上顎骨折観血的手術 | 1 | 0 |
| 口腔底悪性腫瘍手術 | 1 | 0 | 下顎骨折観血的手術 | 3 | 0 |
| 舌腫瘍摘出術 | 1 | 1 | 下顎関節突起骨折観血的手術 | 2 | 0 |
| 舌悪性腫瘍手術 | 0 | 2 | 下顎骨骨折観血的整復固定術 | 0 | 1 |
| 口蓋腫瘍摘出術 | 1 | 4 | 下顎骨骨折非観血的整復術 | 0 | 1 |
| 口蓋悪性腫瘍手術 | 1 | 0 | 顎骨内異物除去術 | 3 | 1 |
| 頬、口唇、舌小帯形成術 | 1 | 1 | 顎関節脱臼観血的手術 | 2 | 0 |
| 頬腫瘍摘出術 | 1 | 0 | 顎関節授動術 | 2 | 1 |
| 頬粘膜腫瘍摘出術 | 2 | 2 | 歯科インプラント摘出術 | 4 | 1 |
| 頬粘膜悪性腫瘍摘出術 | 1 | 1 | 創傷処理 | 1 | 0 |
| 口唇腫瘍摘出術 | 0 | 0 | う蝕治療 | 0 | 1 |
| 上顎洞口腔瘻閉鎖術 | 2 | 1 | 生活歯髄切断 | 1 | 0 |
| 上顎骨切除術 | 0 | 1 | 下顎骨部分切除 | 1 | 0 |
| 計 | 669 | 208 | |||
★マークは女性医師です
| 職名 | 部長 |
| 出身大学 | 北海道大学(平成18年卒) |
| 主な経歴 | 北海道大学病院 |
| 専門分野 | 歯科・口腔外科全般 |
| 所属学会 | 日本口腔外科学会(認定医・専門医) |
| 職名 | 副医長 |
| 出身大学 | 日本歯科大学(平成31年卒) |
| 主な経歴 | 日本歯科大学附属病院歯科研修医 |
| 専門分野 | 歯科・口腔外科全般 |
| 所属学会 | 日本口腔外科学会(口腔外科認定医) |





















