特にCABG(冠動脈バイパス術)では、年齢に関わらず
1.回復が早い
2.術前合併症を悪化させない
3.低コスト:人工心肺を使用したCABGの2/3程度のコスト
という利点により人工心肺を使用しないで行う冠動脈バイパス術(off-pump CABG)を標準手術と位置付け、グラフトには少なくとも長期予後に優れた内胸動脈を含む動脈グラフトを有効に活用することを基本とし、手術を行っております。
従来の心臓手術は胸骨を二つに切って人工心肺装置を装着し心臓を止めて行っていましたが、胸骨を切開せずに肋骨と肋骨の間から特殊な器具を使って心臓にアプローチするようにした手術がMICSです。これまでの手術に比べ切る範囲が狭いため傷が小さく、美容上もよい手術法といえます。MICSでは、片方の肺の空気を抜いて肺を潰す「片肺換気」という状態で手術を行います。そのため、肺機能が悪く、片方の肺だけでは手術に耐えられないと判断された方は、基本的にMICSの適応にはなりません。
胸骨切開の必要がなく、縦隔炎がほとんど起こらない
胸骨正中切開では胸骨を大きく切開するため、細菌などが胸骨に感染することによる縦隔炎の発症リスクがあります。しかし、MICSでは胸骨を切る必要がないため、縦隔炎を発症するリスクは極めて低いといえます。術後に縦隔炎を発症すると、その治療のために入院期間が長くなってしまうこともあるため、胸骨を切らずに心臓手術ができる点はMICSの大きなメリットです。
術後の回復が早い
MICSは胸骨正中切開に比べて、術後の回復が早いというメリットもあります。そのため、入院期間も短縮でき、胸骨正中切開よりも1週間ほど早く退院される方がほとんどです。
傷口が目立たない
胸骨正中切開では胸の真ん中を15cmほど大きく切開するのに対し、MICS(僧帽弁形成術の場合)では8cmほどの小さな傷で手術を行うことができます。そのため、術後に残る傷跡も小さくて済みます。
これは医師側のデメリットですが、MICSは小さな傷口から手術を行うため、目視で確認できる範囲がどうしても限られてしまいます。そのため、胸骨正中切開よりも手術の難易度が高くなり、その分手術時間も長くなる場合があります。また、術中にみえにくい場所から出血が起こると、止血が非常に難しくなることもあります。このように、術中の視野が限られることで、胸骨正中切開よりも手術に伴うリスクが高くなる可能性があります。逆に普段直視下で見えないところが鏡視下ではっきり見える利点もあります。
痛みを強く感じることがある
胸骨正中切開は神経があまりない部分を切開するため、傷の大きさの割に強い痛みを訴える患者さんは多くありません。しかし、MICS手術では肋間(ろっかん)神経のある肋骨の間を切開するため、術後に痛みを感じる方が多いです。そのため、手術中に「肋間神経ブロック」という麻酔を行うことで、術後に生じる痛みを緩和します。
心臓手術を行ううえでは、安全性と確実性の高い手術を行うことが何よりも重要です。患者さんの状態(大腿動脈の性状など)によってはMICSを行うことで、大きなリスクを伴うと予想される場合があります。このような場合には、MICSに固執するのではなく、たとえ手術創が大きくなったとしても、確実性の高い胸骨正中切開で手術を行います。以上最近当科で行っている低侵襲手術について報告しました。
★マークは女性医師です
| 職名 | 循環器センター長 |
| 出身大学 | 札幌医科大学(平成12年卒) |
| 主な経歴 | 札幌医科大学付属病院 |
| 専門分野 | 心臓血管外科 |
| 所属学会 | 日本胸部外科学会 |
| 職名 | 副医長 |
| 出身大学 | 札幌医科大学(平成30年卒) |
| 主な経歴 | 市立札幌病院 |
| 専門分野 | 心臓血管外科全般 |
| 所属学会 | 日本外科学会(外科専門医) |
| 職名 | 医員 |
| 出身大学 | 札幌医科大学(令和5年卒) |
| 主な経歴 | 市立函館病院(初期研修) |
| 専門分野 | 心臓血管外科全般 |
| 所属学会 | 日本臨床外科学会 |





















