耳鼻咽喉科

診療科紹介

耳鼻咽喉科
概要

 砂川市立病院耳鼻咽喉科は医師3人体制で診療しております。
 外来患者数は午前午後外来にて約120人、入院患者数は増減がありますが、12~15人程度です。手術は火曜全日と木曜の午後に施行しております。手術件数は年間250件程で、年々増加傾向にあります。また基本的に耳・鼻・咽頭・喉頭・頭頸部外科と、すべての耳鼻咽喉科範囲にわたって施行しております。

 耳鼻科という科は耳・鼻・のど・頸部(甲状腺、顎下腺、リンパ節も含みます)の疾患やめまいなどを診ております。以上の範囲にて何かお悩みのときは、お気軽にご相談ください。

内視鏡下副鼻腔手術 Endoscopic Endonasal sinus Surgery

 蓄膿の手術はこわい手術だと思っていませんか?『歯ぐきの所を切開して、骨をカンカン削って、痛いし、血も出るし、術後にアンパンマンのように顔面がパンパンになる。』とか、『鼻茸は取っても取ってもすぐにでてくる。』とか誰かに聞いたことありませんか?実際、耳鼻科医である僕自身も10年前まではそのように考えておりました。
 しかしテクノロジーの発達の恩恵を受け、現在、鼻の手術は鼻の穴より内視鏡という細いカメラを挿入して、モニターで拡大視しながら手術します。術後の脹れもなく、出血量も激減し、手術時間も短縮し、合併症の少ない手術となりました。従来の手術よりも治療成績も格段に良くなっております。
 ただし、術者の技量や教育環境により、従来の鼻内手術に内視鏡を導入しただけ、という場合も少なくありません。当院では確立された手術手技と、必要不可欠な多様な鼻内手術器具、機械をそろえ、エキスパートの手術をめざしております。

慢性中耳炎の手術

 鼓膜に穿孔があるため、耳漏が止まらず、徐々に聞こえが悪くなる病気です。
 手術の目的は鼓膜の穿孔を閉鎖することにより、耳漏を停止し、聞こえを良くすることです。手術は局所麻酔です。手術時間は約30分。手術の間にも聴力が改善するのが自覚できます。両耳を同時に手術することもできます。閉鎖に用いる材料は皮下の結合組織で、耳の後ろの目立たないところから採取します。
 ただし、全穿孔の場合や耳小骨の動きが制限されている場合は耳の後ろを切開して手術します。手術時間はやや長くなりますので、全身麻酔下に施行します。

中耳真珠腫の手術

 悪性の中耳炎で、手術が必要となることが多い病気です。
 鼓膜の上部の上皮が袋状に中耳腔に入り込んで、内部にかすを貯めながらどんどん大きくなり、耳小骨や周囲の骨を破壊してゆきます。聴力は病気の進行とともに低下します。また、進行すると、顔面神経麻痺や半規管瘻孔による激しいめまい、頭蓋内膿瘍を来たして命にかかわることもあります。
 手術は症例により異なりますが、できるだけ術前の耳の形態、聴力の保存、改善を目指し、術後にあまりメンテナンスの必要がない術式を選択しております。具体的には真珠腫をきれいに取り去った後、耳小骨連鎖を再建し、外耳道にあいた骨欠損部は耳介軟骨にて再建しています。いったん開放した乳突洞を充填することも少なくありません。
 この病気は初期であればあるほど、聴力も保存でき、再発の確率も低く、満足のいく結果が得られますので、放置せず、受診されることをお勧めします。

一勤務医として

 今の時代は社会全体が歴史的にも激動的にも変革する時代です。医療界もその例外ではありません。急増する医療費、しかも自己負担の急増、テクノロジーの進歩、保険制度の改革、医師の供給過剰、様々な医療教育改革、制度改革の実施。旧来の制度と新たな制度が混在し、混沌の情況を呈しております。一体何が正しく、私たちはどのような道を進んでゆき、またいくべきなのか、誰も教えてくれません。

 一地方病院勤務医として日々どう生きてゆくべきなのか?自問自答する毎日です。価値観が変革する時代、このうねりの中で自分を見失わずに生きてゆくためには、何が大切か?其れは自分自身の理念および価値観をしっかりと持つことです。またその価値観にしたがって、一日一日を精一杯生きてゆくことです。患者さんが一体何を欲しているのかを常に考え、そのためには一体どのような事をしなければならないかを、常識にとらわれず、実践していく。すこしづつでも確実に自分が必要とされるスキルを上げてゆく。スキルアップを続けて、次のステージに達する。その作業を24時間、365日間、継続してゆく。そんな毎日の積み重ねです。

 こんなことを書くと、つらい毎日を送っているように思えるかもしれませんが、実は非常に楽しい毎日なのです。つらいのは、自分の納得のいける一日を送れなかったときです。酒も飲めず、タバコも吸わず、趣味もなく、人から見れば本当に面白くなさそうな人生を送っている訳ですが、実は大変面白いのです。もちろん日々充実しております。このような毎日の努力がすこしでも患者さんの病気の悩みの解決に、役立つことが何よりの喜びと考え、日々診療しております。

手術実績
術式 R2 R3   R2 R3
喉頭直達鏡検査 1 2 咽頭悪性腫瘍手術 1 0
組織試験採取、切採法(喉頭) 1 2 口蓋扁桃手術 (左右) 40 24
創傷処理(筋肉・臓器に達するもの) 0 2 深頸部膿瘍切開術 0 2
創傷処理(筋肉・臓器に達しないもの) 0 1 気管切開術 12 27
先天性耳瘻管摘出術 0 1 喉頭・声帯ポリープ切除術(直達喉頭鏡) 3 3
外耳道腫瘍摘出術 0 1 喉頭腫瘍摘出術(直達鏡) 6 7
外耳道異物除去術 1 0 喉頭悪性腫瘍手術(全摘) 0 1
外耳道形成手術 1 1 気管切開孔閉鎖術 0 1
乳突削開術 0 1 口腔底腫瘍摘出術 1 0
鼓膜形成手術 3 0 嚥下機能手術(喉頭全摘術) 0 1
中耳根本手術 0 1 頬腫瘍摘出術 1 0
鼓膜チューブ挿入術 10 6 舌悪性腫瘍手術 1 1
鼓室形成術 1 1 舌繋瘢痕性短縮矯正術 1 0
鼻前庭嚢胞摘出術 1 0 口唇腫瘍摘出術 1 0
粘膜下下鼻甲介切除術 2 0 がま腫摘出術 0 1
内視鏡下鼻中隔手術Ⅰ型 0 1 顎下腺腫瘍摘出術 1 1
鼻副鼻腔腫瘍摘出術 4 0 耳下腺腫瘍摘出術 4 6
内視鏡下鼻腔手術Ⅰ型 0 1 甲状腺部分切除、甲状腺腫瘍摘出術 4 3
内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅰ型 1 0 甲状腺悪性腫瘍手術 7 10
内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅱ型 0 0 副甲状腺腺腫過形成手術 1 3
内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅲ型 10 24 頸嚢摘出術 1 1
内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅳ型 3 2 頸部廓清術 0 2
鼻中隔矯正術 1 3 リンパ節摘出術 19 18
アデノイド切除術 8 3 リンパ節膿瘍切開術 0 1
下咽頭腫瘍摘出術 1 0 154 168